セカンドオピニオン4.0ですべて解決できるか?

She's got a great rapport with her patients

セカンドオピニオン4.0の世界は、人工知能(AI)がセカンドオピニオン3.0で達成された世界、つまりブロックチェーンで患者データが共有化されている世界を元に適切な診断を下すのです。

夢の様な話にも思えますが、インターネットが始まって30年、グーグルが創業して20年、そしてiPhoneが登場して11年、進歩の速度は指数関数的と思っています。そんな世界も実はすぐそこかもしれません。 現状の人工知能は情報を集め、精査し、そして提案することは得意です。

ですから長生きするためのより良い情報は間違いなく近い将来人工知能で提案できると思っています。長生きはデジタル的に評価可能だからです。1日でも長く生きれば効果があったということになります。すると医者が提案する長生きのための治療が間違っていない事を確認するには絶好の道具になります。つまりフェイルセイフのシステムが構築できます。間違ったことを医者がしたときに、それにストップを掛けられるという意味です。ひいては患者さんに不利益が生じる前に制御できるということです。

さて、問題はデジタルでは評価が難しい項目です。まず幸せをデジタル化するのは相当困難です。二つの人生があって、どちらが幸せかは数値化しないと人工知能は比較できません。また辛さも同じく比較が困難です。つまり長生きをターゲットにすれば人工知能は明らかに有用でしょうが、人生の質(クオリティオブライフ)の評価は人工知能には解りにくいということです。

抗がん剤の治療効果と副作用をてんびんに掛けて、人工知能が答えを出せるかと言うことです。 僕は患者さんをたくさん見てきて、長生きが勝者ではないと確信しています。また短命が敗者とも限りません。つまり人生の質をターゲットにすると人工知能がそこを理解するにはまだまだ時間が掛かりそうだと思っているのです。 コンピューターと自然が融合することは近い将来可能と思います。

デジタルが創り上げた空間と自然(ネイチャー)との境界が不明瞭になり、どこがデジタルで、どこがネイチャーかが判然としなくなるということです。 しかし、デジタルと各個人の人生が融合することは相当未来と思っています。

コンピューターは死にません。死なないコンピューターが、死が必然である人間の気持ちを解る時代は人工知能の最終章に思えるのです。それまではコンピューターの力を借りて、長生きのための最良の方法を見つけ、一方で幸せという人それぞれが持つ人生の満足度をバランスさせる必要があるます。

そこはしばらくは経験がある医師の活躍の場と思っています。そう簡単に人工知能に席を譲るつもりはありません。 シンギュラリティとは技術的特異点のことです。これを超えると人工知能は格段の進歩を遂げます。シンギュラリティを超えると、死なないコンピューターが、死に行く人間の気持ちまで理解して最良の選択肢を与えてくれるのでしょう。そんな世界がくるまでは、人が行うセカンドオピニオンは機械よりも価値ある物に思えるのです。

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