僕のセカンドオピニオン
インフォームドコンセントが普及し、がんの患者さんに生存率を語る世の中になりました。語らなければいけない世の中になったのです。知らずに死ねる世の中は過去の話になりました。
1年後は○○%が死んでいる、3年後は△△%が死んでいる、5年後はほぼ死んでいる と言ったお話しです。そんなお話しは事実ですからしていただいていいのです。でも患者さんは「外来に行く度に死ぬ話ばかりで気が滅入る」としばしば口にします。
僕は希望を与えます。「あなたと同じがんで、同じ進行具合で、3年元気なひとは沢山いますよ、5年元気なひとも確かにいますからね」と言うのです。数字にしなければ嘘はありません。確かにそんな人は複数人いますから。僕に出来ることはそんな希望を精一杯与えてあげることなのです。
そして同じ人生の長さを送るとしても、つまりがんで死ぬ日が決まっていたとしても、死に怯えながら過ごすのと、希望をもって生き抜いて死ぬことの違いです。所詮人は死にます。決まった人生を精一杯生きてもらいたいと願ってセカンドオピニオンを行っています。