セカンドオピニオン事例2「本人と家族でまず話しておこう」

Bearded son is taking his old grey head dad home on a wheel chair from hospital. Patient is wawing to the young nurse

セカンドオピニオン0.0は医師や病院で完結することです。敢えて他の人の意見は不要です。いろいろな治療方法を十分に考慮してそして最良と思うことを決めるということです。ですから、他の病院の意見を無理に聞くことも不要です。また、各個人にもセカンドオピニオン0.0は必要です。いろいろな選択肢から自分でひとつを選び出すことです。自分がどうしてもらいたいか、家族が患者さんをどうしたいかといった疑問にいつも答えられることが大切です。

94歳 女性

僕の母です。90歳までは本当に元気で100歳をボケずに迎えるのではと思っていました。ところが90歳から急にボケはじめました。93歳の頃、母は足が大分弱って1人での入浴が出来なくなりました。母と僕と当時9歳の娘がお風呂に一緒に入り、母の体を洗って、そして家内が外で待っているという光景です。そして風呂上がりに母が家内に言いました。「一緒にお風呂入ったオジさんは誰かね?」 認知症では新しい記憶から薄れていきます。母にとっても息子は小学生の頃までなのでしょう。家内のことは最期までなんとか解りました。

翌年、94歳で母が大腿骨骨折をしたのです。整形外科の医師には手術をして大腿骨を人工の骨で入れ替えるとまた歩けるようになるかもしれないと言われました。でも家族はその手術を選択しませんでした。そこにまったく迷いはありませんでした。

母が元気な時から、点滴も胃瘻(チューブで栄養を入れるために胃に穴を開ける)もしないと家族で決めていました。また自分や家族のことが解らなくなったらお迎えの時だとも話し合っていました。そこで大腿骨置換術も行わず、胃瘻も点滴もしませんでした。食べるとむせるようになり、トロミをつけて口に運ぶと一口は入るのかもしれませんが、ほとんどが口の脇から出てしまいます。そんな日がなんと半年以上続きました。どんどんと痩せて、娘の体重よりも軽くなりました。点滴もしないので、危ないチューブ類は一切体にありません。娘はよく一緒に寝ていました。

食事はまったく取れなくなり、水もほとんど飲まなくなっても1ヶ月は存命でした。カラカラになっていくので、床ずれもありません、病人の臭いもしません。菩薩さんのようでした。そしてある朝、天国に逝きました。そんな菩薩さんのような冷たくなった母の横で娘と愛犬(ビション・フリーゼ)は一晩添い寝していました。大往生です。

わが家の母のためのセカンドオピニオン0.0です。

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