セカンドオピニオン事例10 子宮癌「藁にもすがりたい」

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58歳 女性 子宮癌の骨転移、肝転移、リンパ節転移

5年前にある都立病院で手術を受け、その後抗がん剤と放射線治療が行われています。とても元気で会社勤めをしています。ところが、昨年肝転移と骨転移、そしてリンパ節転移が見つかりました。骨転移に対して放射線治療、そして抗がん剤は幾種類か試されましたが、どれも縮小効果はなく、これ以上西洋医学的には処置できないと言われてセカンドオピニオンに訪れました。

患者さんの希望は少しでも良いことを精一杯やりたいということです。金銭的な余裕は十分ではないそうですが、友達の紹介や、ネットなどの情報から毎月数万円程度をサプリの費用として使っているそうです。僕の説明は以下です。

「先方の紹介状は詳細な記載があり、また画像のコピーが入っているので概要はすぐに把握できました。エビデンスがある治療はすでに行われています。先方の病院はがんの治療では有名な病院にて西洋医学的には処置はないのでしょう。僕はがんの患者さんに少しでも良いと思うことを頑張るように勧めています。①高蛋白食、②有酸素運動、③体を冷やさない、④保険適用の漢方を飲む、⑤希望を持つことです。

まず、あなたは外見では病人には見えませんね。本当に元気です。食欲もありますね(頷く)。炭水化物を少々控えて、良質なタンパク質を取りましょう。PETという検査やりましたね。PETはぶどうがんが優先的に取り込むことを利用してがん細胞を見つけ出す検査です。ぶどう糖が繋がったものが炭水化物なのです。炭水化物をゼロにしろとはいいませんし、それは無理なことです。炭水化物は主食、甘い物、果物なので、ほどほどの量にして、そして良質のタンパク質を召し上がって下さい。大豆製品、卵、青魚、鶏肉などです。

次に有酸素運動をしましょう。呼吸を止めない運動ならなんでもいいですよ。特段運動をしていなければ、早足の散歩で十分です。できれば30分ぐらい毎日散歩するといいと思います。

次に、体をあまり冷やさないようにしましょう。夏でも冷たい物は一杯ぐらいにして、常温のものを飲んで下さい。温かい物を食べましょう。がん細胞は数度温度が上がると死滅しますが、寒冷環境にはとても強いのです。冬などは腹巻きもいいですよ。

そして、保険適用漢方エキス剤を飲んで下さい。補中益気湯と八味地黄丸がまずお勧めです。がんに対するエビデンスはありませんが、疲れを回復させる補中益気湯と、加齢の諸症状を改善する八味地黄丸はいいと思っています。副作用はほとんどなく、保険適用ですので、金銭的負担は僅かです。

そして、希望を持って下さい。遠隔転移して3年も、5年も、10年も生きた人は僕の外来にいます。先方の主治医の先生は統計的に正しいことを発言しますが、参考程度に聞いて、希望を失わないように頑張ってください。

そしてサプリメントに数万円を使われていますが、もしもサプリや健康食品に同じ額を支払うなら、まずエビデンスがある生薬がいいと思います。なんと Huaier gramule という生薬ががんに明らかに有効という論文がでました。1000例を二つの群に分けて、実薬と偽薬を飲んでもらい、なんと実薬群が明らかに偽薬群よりも有効だったのです。「Huaier granule HCC GUT」とネットサーフィンして検索するとその論文が読めますよ。HCCとは肝臓癌のことです。GUTとは超一流英文論文誌の名前です。

明らかに御利益があると解っているものにまずお金を使って、その後、他のサプリや健康食品を試されてはいかがですか。」

 

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